乃木恋カフェ セブン・ストーリーズに周りのオタクがあんま騒いでなくて悲しいという話。

元はアニメやらゲーム好きで声優のオタクを経ているので、ソシャゲっていうのには縁深いはずなんだけど、どうもああいうゲームは苦手で続かない。

 

だったはずなのに、何故かかれこれ1年くらいは続いている(他人にとっちゃ大したことないんだけど、個人的には結構衝撃的なんです。)乃木恋というソシャゲ。まぁ良くあるソシャゲの、カードが乃木坂46のメンバーっていうような感じ。

 

本編のストーリーの、「別にこの子のことそんなに知っちゃないけど、少なくともこんなセリフは言わんやろ」感が一周まわって面白いとかそういう半分バカにしたような感じで続けてきたんだけど、今セブンイレブンとのコラボ企画で開催されている、セブンイレブン店内においてるポップをカメラで読み込むとチケットが手に入り、そのチケットで限定のムービーを見れるというイベントで、わりと手のひらを返したように乃木恋のことを好きになっているし尊敬し始めている。

 

ポップを読み込むと必ず、動画をみれるチケットが手に入り、また、抽選でセブンイレブンのホット/アイスコーヒーが当たるようなイベント。コーヒーを売り出したいみたいで、イベントムービーもカフェを舞台にした乃木坂46メンバーのショートドラマになっている。ドラマは1,2期生のメンバーと、3期生のメンバーで先輩後輩の2名が1組となり1組につき2つのムービー(前後編に分かれているだけ)を見ることができる。

 

乃木恋って、まぁ昔懐かしのギャルゲ的で、主人公はプレイヤーという1人称視点でストーリーが繰り広げられて行くので、ムービーつってもNOGIBINGO!の妄想リクエストみたいな、見てるこっちが恥ずかしくなってくるようなものになるんじゃないかと思ったら大間違い。監督に山岸聖太さんを迎えてちゃんと作られている。乃木坂的には、「別れ際」、「シークレットグラフィティー」、「あの教室」、「ないものねだり」、「逃げ水」のMVで有名な方。個人的に「あの教室」と「逃げ水」のMVはめちゃめちゃ好きで、スペースシャワーの山岸聖太特集でちらっと出た逃げ水の設定資料集が読みたくて読みたくて仕方がない。売ってくれ。

 

乃木恋ムービー、というイベントは以前にもあったけど、その時と今回で違うのは、恋バナをするムービーだけではなくて、「先輩に恋(?)してるムービー」があること。

 

待ってくれ、待ってくれよ、「なんだただの百合厨か」ってブラウザを閉じるのをやめてくれよ。そりゃあ確かに最近でも、「あの娘にキスと白百合を」とか「やがて君になる」とか「将来的に死んでくれ」とか(これはちょっと違うか)、そういういわゆる百合漫画見たいなものは好きだけど、だからといってすぐに「響け!ユーフォニアムは最高の百合!!!」とかそういうアレなことを言うわけじゃない、そういうオタクじゃないことだけ察してほしい。もしかしたらこれは、「他の人には私の悩みは理解されないっていうありふれた悩みを抱えたメンヘラ」みたいなどうしようもなく痛い感じなのかもしれないが。

 

ただ、これまでの乃木恋のフォーマットみたいに「メンバーから私(というてい)の感情」というマジで空虚にしかならないものとは違って、感情がメンバーからメンバーなので、"観れる"ムービーになっている。っていう話で。とりあえず5/20現在公開されているムービーの中でそういったものは、若月/梅澤の『好きになったら』と齋藤/岩本の『POSITIVE』であり、まぁ他のムービーも含めて良きものばかりだけど、ここでは『POSITIVE』について駄文を書き汚していく。山岸聖太監督といえば乃木坂では特に「シュールな映像」を撮ると言われがちだが、それだけでは済まない要素と、余白がある。

 

EPISODE4『POSITIVE』

齋藤飛鳥(大学生)

文学系少女。昔はエッジが効いていたが、最近はちょっとだけ丸くなった。

自分に懐いてくれる対象を愛おしいと思うようになったが、その感情がどこからくるかはわかっていない。

無邪気で明るい蓮加を可愛がるが、素直に言葉で感情表現ができない。

 

岩本蓮加(高校生)

まだあどけなさが残り、無邪気で悪気がないが、たまに毒を吐く。

学校が終わるとすぐに飛鳥を呼び出し、飛鳥の匂いを嗅ぐと落ち着く習性を持っている。

ちゃん付けで呼ばないとふてくされる。からかわれると拗ねる。

 

という人物紹介。

 

ムービーは、齋藤飛鳥の本のエピローグのような語りとアンビエントなBGM、アップで齋藤飛鳥が映し出される。文学系少女なのか、村上春樹系少女なのか、森見登美彦系少女なのか、まぁ知ったこっちゃないけど、ちょっとアレな語り口調で圧倒的な作画の齋藤飛鳥がそれはそれはドアップで途中本と、最近飲めるようになったコーヒーを挟みながら、40秒近く。

 

例えば今私が突然新海誠のような作画力を手にしたら、多分渋谷の早朝を、青みがったような色で1,2分意味もなく描いたような映像を作ると思うんだけど(ブルーピリオドめっちゃ良い漫画ですね)、当然そういうことは起きないし、でも映像監督は、出演者という作画を手に入れられるわけだから、なるほど齋藤飛鳥という作画が手に入ったらドアップで長時間映すよなぁ。

 

一人、カフェで本を読みながらコーヒーとバニラシェイクを嗜むのが好き、という内容の語りから、BGMが一旦止まり、離れて俯瞰で、岩本が齋藤にもたれかかる場面に切り替わる。時折もたれかかる姿勢も切り替わり、長時間もたれかかってる様子。一人が好きだったはずなのにいつからこんなことに。

 

周りにも変な目で見られてるよ、と齋藤が諭すと、「あいつらは敵だ」と岩本。その感じは、設定高校生というよりは中学生では...?と思いつつも実際問題岩本蓮加ちゃんは現実では中3なので良し!!(現実とフィクションの区別が付かない人) 厨二っぽい雰囲気に引くでもなく、「私もこんな感じだったのだろうか」と、少し丸くなったという齋藤は思う。

 

トイレで席を離れる岩本、その間にまた齋藤飛鳥のアップ!!もたれかかられて少し凝った肩を軽くほぐす!!!それだけの映像が圧倒的作画で観るに耐える映像になっているの、すごくないっすか。齋藤飛鳥さんの首が、偉い。

 

トイレから戻ってきて、今度はおもむろに肩を組んでくる岩本に、辛抱たまらず、「可愛いねぇ〜可愛いねぇ〜」とムツゴロウスタイルで愛でる齋藤飛鳥...という妄想から一転、「というようなことが私にはできない」と素直になれず肩に組まれた腕を振りほどき、齋藤は、広いU字型の座席の、岩本から離れた対面に移動する。少しがっかり蓮加ちゃん。

 

注文をするため店員を呼び、そんながっかり蓮加ちゃんが本当は可愛くて可愛くて仕方がない齋藤はメニューの一面全部を蓮加ちゃんのために注文する...という妄想から一転、コーヒーのおかわりを注文。バニラシェイクを飲む。

 

一人が好きで、少し妄想気味だが引っ込み思案な齋藤飛鳥は、特に喋るわけではないけどひっつき虫な岩本蓮加のことがわりと可愛くて仕方がないので、この感情は一体...という前編ムービー。

 

同じアンビエントなBGMと、おかわりしたコーヒーが届いているところから後編は始まる。

 

不審な行動をする岩本に、何してるのと齋藤が呼びかけるが、蓮加ちゃんと呼んでくれるまでは無視。ストローの袋?をバラバラにちぎって、それを「解体」と呼ぶ思春期/厨二真っ盛りな岩本に、否定もせずに「良いと思うよ」と言ってくれる齋藤。それに居心地の良さを感じて岩本はニンマリ。

 

「解体」したその紙を、フーッと齋藤の方に吹きかけ、まるで花びらの吹雪が舞っているようだ、とその綺麗な様を満足げにゲラゲラ笑う無邪気な蓮加ちゃん。まぁそんなことは齋藤は知らず、ただ紙を吹きかけられてゲラゲラ笑われるという嫌がらせをされただけなので、仕返しに、クラスの男子に岩本の写真を見せたら可愛いって言ってたよ、とからかう。

 

自分の口から自分の意見として岩本に「可愛いねぇ」と愛でることの出来ない齋藤は、ここぞとばかりに仮想のクラスの男子の口を借りて「可愛い可愛い」と連呼。知らない男から「可愛い」と言われてもあんまり嬉しくないというかむしろ嫌な岩本。もうその表情は!!!齋藤飛鳥さんのことが好きなやつの!!!顔やんけ〜〜〜〜〜〜!!!!!

 

「まぁ全部嘘なんだけど」とサラッと明かしたところで、素直に言えない自分になんだかばからしくなってきて、齋藤は飲めるようになったコーヒーに再び口をつけて「苦!!」とヘラヘラ笑う。結局、コーヒーが飲めるようになったというのもカッコつけで、素直に飲まなけりゃ良いものを、バニラシェイクを挟み苦味を誤魔化しつつ飲んでいる。

 

そんな苦いコーヒーを岩本にも勧めてみる、すると岩本は、素直になれずバニラシェイクと交互に飲む齋藤には驚きの、バニラシェイクにコーヒーを混ぜて飲むという行動に出る。恥も外聞もない。一口で飲み干して無邪気にニンマリと「飲んだ。美味い。」

 

過去の自分に似た、思春期の尖ったような部分がありつつも、齋藤にはない素直で可愛らしい部分があり、そんな岩本に心奪われ、一緒にいることが齋藤にとって、「不快ではなくなく、ない」というエンディングまで素直じゃない齋藤飛鳥さんなのであった。

 

あぁ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!最高ムービーだぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!